Game Theory

Marsyas2004-07-30

前回の日記から、早いもので三ヶ月が経った。この間、特に忙しかったわけでもないが、気がついたらあっという間に時間が経っていた。だからといって、今日特別なことがあったわけでもない。ほんとうにただ何となくページを開いたまでである。

今日のケースディスカッションは、衛星通信電話のイリジウム計画についてであった。モトローラ社が90年代に巨額の資金を投じ、結局大失敗に終わった巨大プロジェクトである。人工衛星と携帯端末を直接電波でつなぐもので、エベレストの頂上でも南極でも、世界中どこにいても使える携帯電話というわけだ。モトローラ社の技術の結集であったこのプロジェクト、結局、損益分岐点となる加入者数に遠く及ばず、事業は二束三文で売却されていった。高額で持ち運び不自由な端末機器、稚拙なマーケティング、建物の中で使えないという技術的なネック(世界中どこでもという謳い文句はウソだったわけだ)、決定的だったのは地上携帯の急激な低価格化、ローミング等の技術面でのブレイクスルーだろう。こうした競争条件の変化によって、イリジウムのもたらす付加価値は非常に狭められていったわけだ。

といった内容は別にして、今回のグループメンバーは香港人のパートタイム学生が四人。つまり私以外はNative Cantoneese Speakerなわけである。困ったことにこの四人は私よりも英語が遥かに堪能。いちおう英語で議論をしたが、彼らにしてみれば怪しげな英語をしゃべる日本人は無視して、広東語で議論できれば、どれほど楽かということになる。今回のケースは戦略論・ゲーム理論のコースなので、Five Forces, Added Valueあたりのフレームワークを使えばいいと思い、あまり細かい数字はフォローしていなかった。しかし私以外は昼間は金融機関で働く人間で、どうしても投資採算、NPV分析をしたいみたいで、ホワイトボードにいろいろ数字を並べ始めた。結局彼らの主導で議論は進められた。夜も10時半になったところで、「明日、別の授業の試験があるから。。。」と言い、そそくさと逃げてきてしまった。幸いプレゼンテーションも免れそうで、最も楽に単位が取れそうな授業になりそう。

この授業は、ハーバードビジネススクールの現役教授による特別授業で学生の評判も上々のようだ。ゲーム理論は、ビジネスパーソンにとって非常に有益な思考トレーニングになるので、卒業前にもう一度理論書を読み返しておきたいと思っている。