English Name

Marsyas2004-03-19

海外に出ると、特に欧米社会ではFirst Name Basisだから、自分をどう呼んでもらうかはちょっと迷うところだ。今、私は本名のFirst Nameをそのまま使っているが、日本人の場合、若干縮めた名前にする場合が多い。例えば「たかあき」ならTAK、「としひろ」ならTOSHIといった感じ。この例に倣うと、私の場合MASAになるわけで、東京で英会話を習っていたときは、先生にこう呼んでもらっていた。しかし日本人の男性で「まさ」で始まる名前はかなり多いらしく、クラスで重複する日本人男性がいた場合は困るなということで、日本を発つ前に改めて自分をどう呼んでもらうかいろいろ考えたものだ。「まさ」という漢字の意味から、EARNESTというのはどうだ?と言ってくれた会社の先輩がいたが、自分の胸に手を合わせて考えると、ちょっと名前負けしそうなので辞退した。あとはMARCYなんてのもあった。外人には分からないけど、この名前はある有名な日本の芸能人の愛称で、かなりネガティブなConnotationを含むので、これも却下した。ロンドンにいたとき、学校の先生がMASと呼んでくれた。これも短くていいかなと思ったが、結局、本名を通しても、欧米人は割とすんなり覚えてくれたので、そのまま通すことにした。メール等のアカウントを作るうえでも本名で通したほうが楽である。

逆にほとんどの中国人の学生は、English Nameを使う。クラスメートをざっと見回しても、Alan, Connie, Jerry, Helen, Williamといった名前で堂々と自己紹介する。したがって、いまだほとんどの中国人学生の本名は知らない。中国名をローマ字に置き換えた名前は欧米人には覚えにくいともいう。しかしこうした風潮に異を唱えて、断固本名を通している中国人学生もいる。彼にこの話をしたところ、親からもらった名前は唯一無二であり、別の名前で呼ばれるのは心理的にかなり抵抗があると言っていた。この心情は非常に共感できるものだ。彼とはそれ以来結構仲良くなったのも何かの縁かもしれない。

しかし、日本人の名前でも時には覚えてもらうのに大変苦労することもある。例えば大学の時にお世話になったある先生は、姓が「飯田」で、「Professor IIDA」と呼ばせるのに四苦八苦したらしい。IIDAというのはどうやって発音するのか。「アイアイダ」では笑ってしまうし、一歩間違えるとテロリスト集団と勘違いされるかもしれない。何かの略称にも見える。苦し紛れにこの先生は、「EIDA」と綴ることにしたらしい。姓は変えることはできないので、せめて憶えやすい名前を子に授けることが親の責務かもしれない。